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「あ、明日の夜、時間ある?」
葉月に話しかけられ、はっとする。
「明日?」
こくんと頷く葉月の顔が、近すぎると思って、どきっとする。
「あ、あぁ。別に予定はねぇ。」
「じゃぁ、花火見ませんか?」
そういえば、明日は海辺で花火大会があるとか、部員達が話してたな。
「別に構わねぇけど。」
「よかった。えっと、明日夜七時に、西門の前でいいですか?」
「あぁ、わかった。」
葉月は立ち上がると、アイスのゴミを、ささっとまとめてコンビニの袋に入れた。
その様子を、今の約束の意味を考えながら颯はぼけっと見ている。
「じゃあ、高村君、明日。」
小さく手を振ると、葉月は軽やかに去っていった。
気だるさはどこかに行ってしまった。
蝉の声と暑さがまとわりつく。
「あちぃ。」
もう一度、呟くと颯は首の汗を拭った。
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