第4章 涼風

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「あ、明日の夜、時間ある?」 葉月に話しかけられ、はっとする。 「明日?」 こくんと頷く葉月の顔が、近すぎると思って、どきっとする。 「あ、あぁ。別に予定はねぇ。」 「じゃぁ、花火見ませんか?」 そういえば、明日は海辺で花火大会があるとか、部員達が話してたな。 「別に構わねぇけど。」 「よかった。えっと、明日夜七時に、西門の前でいいですか?」 「あぁ、わかった。」 葉月は立ち上がると、アイスのゴミを、ささっとまとめてコンビニの袋に入れた。 その様子を、今の約束の意味を考えながら颯はぼけっと見ている。 「じゃあ、高村君、明日。」 小さく手を振ると、葉月は軽やかに去っていった。 気だるさはどこかに行ってしまった。 蝉の声と暑さがまとわりつく。 「あちぃ。」 もう一度、呟くと颯は首の汗を拭った。
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