0,プロローグ

3/3
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
…掃除。 べつに俺が掃除が嫌いわけでもなければ掃除を面倒だと思っているわけでもないただその場所が問題だった。 それはじいさんの仕事部屋で4年と7ヶ月(じぃさんに「約5年だろ?」と言ったところ「あと5ヶ月もあるから5年とは言えんぞ」とか屁理屈言いやがって…)の間全く掃除していないという代物だった。 じぃさんの仕事は薬師みたいなもので傷や病によく効くと評判がよかった。薬に詳しいじぃさんは病気に対してもそれなりに知識があって医者のいないこの村では医者の代わりとして何人も病気を治してきた功績も持っている。 仕事部屋というのはいつもじぃさんが薬を作っている部屋のことだった。部屋の壁は本棚が並んでいていろいろな本や薬草の入った小鬢が並んでおり、机には薬草をすり潰す道具だとかビーカーやフラスコなどが転がっていて、部屋の中央には魔法使いを思わせるような大きな釜があった。 いつもは部屋を変に片付けると物がいなくなるとか言ってろくに掃除をしようとしなかったのだが、最近探し物が見付からなくなったらしく今回の大掃除に繋がったらしい…。 部屋がキレイになった事自体は喜ばしい事なのだが何せ約5年ぶりの大掃除、3日を過ぎて4日の午前中のほとんどを使い切った大仕事になってしまった。結局探し物は見付からなかったらしい…、骨折り損のくたびれ儲けかと思うと泣きたくなった。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!