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「ありがと。
もう戻って良いよ。
そいつらは任せるから」
よほどおかしかったのか、
白衣の男は眼鏡を外すと、
流れた涙を拭った。
少年達は彼に一礼して、
男達を担いだまま引き上げる。
それを見送って二人だけになると、
さて……と一つ呟いた。
眼鏡をかけ直した白衣の男は、
それから女に向き直る。
急に真面目な表情を浮かべた彼の口元は、
それでいてどこか柔らかな笑みを形作っていた。
「それで……話って何?」
話がある。
そう連絡があったのは昨夜の事で、
何事かと彼は思った。
彼女とは旧知の仲で、
改まって話す事など特に無いのに。
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