標的─1

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 いや、 いつかはバレてしまうだろうが、 今は知られてはいけない──それは自分にとっても政府にとっても同じ事だ。 そして……。 「マズいな……」  遺品から何も盗まれてはいないらしい。 なら“アレ”はまだ無事なのだろう。 だがそれも時間の問題か。  自分があの事が世間にバレてはマズいように、 あいつ等にとってもこれが世間一般に流れるのは避けたいところ。 ならいずれ狙ってくるはず──それがマズい。  白衣の男は考えながら、 本日何度目かの溜め息をついた。 願わくば事無きを得たいのだが、 無理な話だろうと半ば諦めながら。  
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