標的─1

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  「どうしたの? 俺の金、 欲しいんでしょ?」 「……っ!!」  言葉を詰まらせながらも、 男が退く様子は無い。 震える両手で鉄パイプを握りしめながら、 ゆっくりと近づいてくる。  面倒くさいなぁ……、 と小さく呟くと、 白衣の男は溜め息をついた。  今日、 白衣の男がこの場所に来たのは、 こんな下劣な連中と遊ぶためではない。 もとを辿れば、 ある人物と待ち合わせをしていたのだ。 話があるから、 と彼を呼び出した張本人の姿は、 まだ見えない。  まぁ暇つぶしにはなるけど……などと思いつつ、 彼は右の拳に意識を集中させ、 小さな気の塊を作り出す。
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