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白衣の男に向かって、
対峙する男が一歩踏み出そうとした時だった。
「やめなさい!! そいつ、
“ZERO”の人間よ?」
突然響いた第三者の澄んだ声。
びくりと反応した男がすぐさま周囲を見渡し、
そしてその目が一点で止まった。
こんな小さないざこざに自ら首を突っ込むような物好きがいるのか、
と白衣の男は思う。
視界から男の姿は外さず、
白衣の彼も同じ場所を見やった。
────女だ。
長い黒髪を風になびかせた彼女は、
その細い両腕を組んで彼等の前に一歩進み出た。
白衣の男がクスッと僅かに笑みを浮かべたのだが、
対峙する男はきっと気付いてはいないだろう。
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