第1章

2/9
410人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
イケメンランキング! ドゥルルルルルrrrrr 頭の中で流れるドラムロール 第3位! 『Bonheru(ボヌール)』店長 菅沼 博康 さん 第2位! 『大学生』 四谷 渚 さん 第1位! 『弘和同印刷』営業 西島 克也 さん はぁあああ、今日も眼福!頂きました! 見るからに柔らかそうな茶色の髪は、お祖父さんがイタリア人でその血を一番濃く継いだからかなぁと親睦会の時に話していた。 日本人にしてはホリの深い顔がなんとなく異国の血を感じさせる。 と言っても本人は海外に行った事がなく日本語しか話せないけどねとこれもまた親睦会の時に話していた。 イケメンって本当に癒される。 仕事にやる気が起きるよね。 「佐久間、こら佐久間」 そう名前を呼ばれて垂れそうなよだれを吸い上げながら振り返ると、上司である加藤 太朗が物凄い形相で立っていた。 イケメンランキング 殿堂入! 我が愛しの上司 加藤 太朗 様! 今日はついてる! 西島さんを見れた上に、加藤さんにも遭遇できるなんて。 イケメンな上仕事が出来るとか、本当神でしょ!この人! 「何かご用でしょうか?」 「用がなけりゃ誰がお前に話しかけるか、このバカたれ! お前請求書の宛名間違ってるだろうが! 毎度毎度同じ間違いしやがって!確認しろって言ってるだろうが!」 ああ、もうイケメンに怒られるとゾクゾクしちゃう! もっと怒って!・・・なんて思ってる事がばれたら、この人に殺されてしまうだろうから・・・いや、殺されてもいいかもしれない。 イケメンになら何されても許しちゃう! ああ、残念な私。 佐久間 美湖 もうすぐ25歳。 「すみません。すぐにやり直します」 「さっさとしろ!」 今にも足蹴りにしそうな雰囲気を醸し出してる加藤様。 ああ、もう加藤太朗って名前聞いただけでイケちゃいそう。 非貫通だけど。 いい匂いがする加藤様の横をすり抜けて請求書をフォームを立ち上げてやり直す。 文字を一つずつ確認して、オッケー! プリントアウトしてすぐに持っていくと確認のための目が請求書の上を追っているのが分かる。 ああ、何をしても様になるってこういう人の事を言うんだな。 「やれば出来るんだから最初からやれ」 それがオッケーの言葉だと理解した私は『以後気を付けます』と頭を下げてその場を離れた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!