第1章

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嬉しいです。嬉しいけれど、これは辛いかもしれないです。 基本事務方の私は事務所で電話番だけれど、何故か今日、本日、加藤様と外回りです! コンパスの違いであっという間に離されてしまう距離をなんとか詰めようとパタパタと小走りでついて行く。 加藤様は呆れつつもたまに立ち止まって私を待ってくれる。 ああ、なんて素敵な人なんでしょ。 私なんかが隣に立っていいのでしょうか。 雑用係りの私は大きな社用バックを肩から下げて、また離された距離を縮めるべく走って加藤様の3歩後ろを目指す。 加藤様の隣に来ると爽やかな風が来ます。 何の匂いですかね?この香水売ってるなら買いたいです。 買ってふりかけて包まれて。ああ、もう死んじゃうかも。 「おい!佐久間!」 名前を呼ばれ見上げると眉間に皺寄せた加藤様。 「ぼーっとするな。さっさと来い」 「はい!」 どこまでも着いて行きます! 得意先を回り、新製品のパンフレットを配りまくり商品案内をする加藤様。 鼻血でそうです。素敵すぎて。 「疲れただろう」 ある程度の得意先を回ってバックが軽くなった頃、加藤様からのお優しい言葉。 「大丈夫です!体力だけは自信があります!」 そう答えると笑顔を見せた加藤様。 何!この破壊力!心臓が胸突き破って出てきそう! 「あれ?美湖ちゃん?」 弘和同の西島さんがこれまた爽やかにやって来た。 うわぁ!うわぁ!どうしよう! イケメン二人が私の両側に!た・・たまりません! 「珍しい組み合わせですね」 「はい。今日は加藤の補佐で外周りをさせて頂いてます」 「そっか。大変だね。お疲れ様」 そういって私の頭をポンと軽く叩いた西島さん。 なーーにーーこーーれーーーーーー! イケメンが頭ポンってちょっと、もう心臓吐き出していいですか! 「西島さんも外回りですか?」 「こっちは工場に行った帰り。 そうだ。また今度飲み会しようよ。みんな美湖ちゃんに会いたがってるし」 「またまた。そういってお目当ては祠堂でしょ?」 「あ、ばれちゃった?嘘嘘。みんな美湖ちゃん目当てだよ」 「そういう事にしておきましょう。 都合の良い日を何日かあげて貰ったらみんなに聞いておきますね」 「よろしく。それじゃあまたね」 「おいこら佐久間」 あ、加藤様の事忘れてました。
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