第1章

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フォークに刺ささっているのは、しっとり美味しそうなレアチーズケーキ 澄まし顔をした友樹の目線は ベッドの上に起き上がった、ぼくの上半身から動かない 恥ずかしいなぁ 胸まで引き上げた毛布を手で押さえ、貧相な体を隠した 苦笑した彼が、残念そうに肩をすくめて 「残念。エロかったのに」 にやにやと笑う 「バカ」 笑ってる友樹を睨み、ケーキを味わうために口を大きく開けた 「ん、美味しい」 濃厚ながらもさっぱりした味に、頬が緩んだ 「良かった。マコに喜んで貰えて」 嬉しそうに笑う友樹の笑顔に、ぼくも嬉しくなる 「じゃあ次ね。はい、あーん」 フォークに刺さるケーキが、上から下りてきた 必然的に、ぼくは顎を上げていく 「マコの長いまつ毛が頬に陰を落としてさ、ぞくぞくするほど色っぽい。フェラされてる気分だ」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 目元を赤く染めた友樹の、脂下がったスケベな顔 期待してるなら、応えてあげようか 舌の先で、ケーキをチロチロ舐め 「んっ・・・・・・」 友樹の濡れた瞳を見詰めながら、食べた 喉仏が、上下に動き 《ゴクリ》唾液を飲み込む音が、静かな部屋に響いた 荒い息を吐き出した友樹は、くるりとぼくに背を向け提案する 「あのさ・・・・・・、リビングに移動して食べよう。服着てから来て」 ぼくを見ないまま、慌てたように出て行った彼の足音に耳を澄ませ ガチャ、バタン 聞こえてきた音から、トイレに駆け込んだと分かった ガッツくようにぼくを抱いた後の友樹は、泣きたくなるくらい優しい 生まれたばかりの子猫とぼくを 勘違いしてるんじゃないかと疑うほどの手付きで、ぼくに触れてくる 時々、その優しさが辛くて 「友樹と響先生、はっきりしないぼくに優しくしないで!」 叫びそうになる 泣き叫んで八つ当たりしたとしても、友樹の優しさは変わらない 困ったように笑って 「分かってるよ。マコが苦しんでることくらい」 抱き締めてくれるんだ ・・・・・・リビングに行かなきゃ トイレで欲望を吐き出し終えた友樹が、ぼくを迎えに来る前に
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