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一学期が始まった直後に、二泊三日の校外学習が行われた
山奥の寮で寝食を共にして、クラス全員と親睦を深めようという狙いだ
でも、理由なんかどうでも良かった
「ぼくだって圭介が好き、なんだよ」
鏡を見れば、チコに似た繊細な顔が映る
だけど違う
どんなに似ていても、ぼくは男だ
ぼくには胸も無いし、余計な物が付いてる
男であるぼくに、圭介は一生振り向いてくれない
家でチコと圭介の仲睦まじい姿を見るのは、苦しかった
圭介の笑顔も、優しく頬に触れる手も、低く甘い声も全部!
ぼくのものじゃなく、チコのもの
「もう分かったから、これ以上見せ付けないでくれ!」
絶望にひび割れたぼくの心は、限界だった
友人の振りをするのも、兄の顔を演じるのも
ーーーッ、限界だった
校外学習初日は野外でぼく以外の男子は弓道、女子はアーチェリー
近隣の大学生から指導を受け、的の前に立つ彼らを横目に
「ほら、弓だけで良いから弦に当ててみろ」
力のないぼくは、マンツーマンで指導を受けていた
「弱いなぁ、お前。本当は女ってんじゃねえだろうな」
響先生の手が、体操服の上からぼくの肩を撫で、胸を撫で回す
「んぁ・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・圭介
チコの胸を弄る圭介の手、圭介の唇、圭介の欲に濡れた目
欲しくて、欲しくて
頭が、変になりそうだ
「・・・・・・あっちの倉庫で、休憩するか?」
響先生の胸に頬を当て、頷いた
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