第1章

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「勿体ねえことする男も居るもんだ。お前より妹を選ぶなんてな」 倉庫の床に脱いだスーツを敷いた上に、ぼくをゆっくり押し倒していく 何度も髪を、頬を撫で 「後悔しないか?」 確認してくれた 「抱かれるのは、怖い。でも、後悔はしない」 鏡を見るたびに泣いて、圭介への想いを押し殺した 耳を塞いでも聞こえたチコの喘ぎ声に 圭介の吐息を、唇を、愛し方を想像してしまう自分が、嫌で堪らなかった   「ぼくに教えて下さい。愛される悦びを」 《マコ》圭介の声が聞こえてきた 圭介だけの、特別な呼び方だった 他の誰にも、呼ばせたくなかった 大事な、大切な名前だった ぼくの残りの人生が、後何十年あるのか分からないけど 圭介への想いを抱えては、生きていけない 「さよなら」圭介と、圭介を好きだったぼくに別れを告げた途端 涙がぽろぽろ零れ落ちてきた ぼくが涙を流す間、何も言わず抱き締めてくれる響先生 こんな弱いぼくを好きだと、忘れるまで利用しろと言ってくれた人 ーーありがとう 囁いて、目を開いてキスをした 自分の相手は、圭介じゃないと脳裏に刻み込むために 「セックス、した事は?」 黙って首を振った 「無い」答えようと思ったのに 緊張に震えて、舌が強張ってしまい声が出なかった 「ヤベェ、俺も緊張してきた。みっともねぇな」 響先生の唇が降りてきた 差し込まれた舌に、優しく愛撫される 「マコ。響先生、マコって呼んで」 「マコの声を聞きたい。我慢せず、声を出せ」 彼の唇に、くすぐったく焦れったい疼きを呼び起こされた じわりじわりと性感を引き出され、喘いだ 「凄ェ色っぽい。マコの声を聞いただけでイきそう」 左右の肉を広げ、意識して触れたことも、見たこともない蕾を舌先で辿っていく 優しい刺激と心地よさに 「はああ・・・・・・、いい。気持ちいい」 泣きそうな声が出る 感じすぎると涙が出るのだと、知った瞬間だった 「まず小指からだ。大丈夫なようだったら、太くしていく」
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