第1章

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あっけないくらいの素速さで、根本まで滑り込んできた彼の小指は、太い指へと変わり 「いけそうだな。マコの此処は、素直で柔らかい」 言いながら、Yシャツとスーツのズボンを丸めて ぼくの腰の下に、差し込んできた うわ、何これ やや上向きになった足の間から見えた響先生が目を細め、ふわりと笑った 照れる! 恥ずかしい! 「マコ。体育座りのように、膝を折り曲げてくれ」 「・・・・・・・・・」 響先生の視線は熱すぎて、肌が焼けそう 口元を緩め、ニヤリと笑う彼の厭らしい表情に、ボンッとぼくの顔は炎上した 「可愛いし、綺麗だ」 静かな口調で感想は、失恋と悲しみにひび割れたぼくの心を潤してくれる 相手が圭介じゃない寂しさと、やっと楽になれる喜びに どんな顔をすればいいのか混乱したぼくは、両手で顔を覆い隠した 響先生に幻滅され、やっぱり止めたなどと、言われたくなかったから 「照れた表情にグッとくる。マコの排泄する姿、間近で見たら、どんな顔を見せてくれるんだ?」 「・・・・・・変態」 「興奮してるだろ?」 その通りだった 優しく扱われるより、ほんの少しだけ乱暴に 痛みと屈辱をスパイスのように混ぜ込み、与えられると脳が麻痺して興奮する 響先生はぼくを最高の状態にして、リラックスさせてくれていたのだ 「好きだマコ。お前の初めてを貰うんだ。俺に、責任とらせてくれな」 甘い囁きに涙したぼくは、頷きを返した 「はい。お願いします」 こうして、ぼくは響先生を受け入れた あの日だけかなぁ、情事後に世話やいてくれたのは 最初は、響先生だけに甘えるつもりだったけど 友樹が激怒したんだよね 「好きでもない男を助けに、女子トイレに乗り込むわけねえだろうっ!!!」 悪鬼のような顔に、土下座して謝罪した 友樹の気持ちに気付かず、申し訳ありませんでした。って 思い出したら、笑えてくる 結局、二人と付き合いを深めていき ・・・・・・気付けば タイプの違う二人の男を、好きになっていた 女の喘ぎを耳にして浮かぶのは、興奮した二人の眼差し ・・・・・・・・・女? 「真琴ちゃーん。ニヤニヤしちゃって、厭らしい表情になってるわよ。昼の悦いこと思い出してんの?」
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