第1章

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恵理・・・・・・・・・、まさか、だよね ぼくの目線に気付いた彼女が、思わず見惚れてしまう優美な仕草で、手を上げた 「ふふ、防音の壁でなければ紙コップで充分、声が聞こえるのよ」 ペタッと紙コップを壁に当て、目尻を下げ笑う 恵理の笑みに、悪寒が走った 紙コップで会話を盗み聞いたってことは、ぼくがノーパンだということも 知っているのだろう 「一人で帰宅するのは危険よ。私が付き添ってあげる」 「遠慮します」 「駄目よ。襲われたりしたら大変だもの。ね? 部屋まで送ってあげるわ」 部屋まで、の言葉に反応した友樹の笑顔が怖い 恵理の目的は、チコ 女子グループで家族写真を見せ合った時に、チコを見て目の色を変えた恵理が 「真琴ちゃん。私たち友達よね? 妹を紹介して、無理なら真琴ちゃんの童貞をちょうだい」 爆弾を投下してくれた 恵理、童貞ちょうだい。って、友達にいうセリフじゃないから 「可愛いマコを狼に預けるわけないでしょ。荷物もあるし、俺が家まで送っていくよ」 「狡い! あ、ねえ」 うわー、恵理の猫なで声 警戒態勢で挑まないと、頷かされてしまう 「何?」 「私がいれば、友樹は真琴ちゃんを独り占め出来るわよ。妹ちゃんに、勉強を教えてあげれるから」 全国模試三位の恵理は、理想の家庭教師だ しかも、チコに「友樹さん、チコにお菓子作り教えて」と邪魔されることなく、ぼくの部屋で友樹と二人きり キスしたり、抱き合ったりなんかも出来るってことだ 想像しただけで、ゴクリと喉が鳴った 「妹に手は出さないと、約束出来る?」 「勿論、まずは信用が大事だもの。優しいお姉様になるわ」
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