第1章

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ぼくの好きな人は、二人。彼らと肉体関係もある ここまで言えば、納得すると思ったのに チコの顔色は悪くなっていくばかり 「大丈夫。不安に思うこと全部、吐き出してしまいなさい。何を言っても、私は智恵子ちゃんの味方よ」 ちゃっかり、チコの太ももを撫でる恵理に、文句を言おうとして止めた チコが可憐な唇を、開いたから 「チコ・・・・・・、圭介が泊まった日は必ず、お兄ちゃんの部屋に入ってるのを知ってるの」 は?  「はあーーーっ!?」 圭介の様子がおかしいと疑いだしたのは、3ヶ月前 抱かれてないのに、朝起きると頭がぼうっとして体が怠い そういう日は、圭介の機嫌は特に良くて スッキリした顔をしていた (何で、スッキリしてるの?) 腹立たしさを感じ、考えてるうちに気づいた 圭介がココアを作ってくれるのは、お兄ちゃんが家にいる日だけだということに ある晩、いつものように二人分用意されたココアを、飲んだふりをしてこっそり捨てた 勉強の途中であくびまでしてみせて 「もう無理、眠いよう・・・・・・」 「仕方ないな」言うわりに、嬉しそうな圭介の顔を消すように目を閉じて、横たわった 暫くして部屋のドアが開き、圭介が出ていき、足音を忍ばせ 隣りのお兄ちゃんの部屋へと、入っていく (やっぱり、二人でチコを裏切ったのね) 裏切りの瞬間を抑えるつもりで、怒りのまま部屋を覗き ・・・・・・息を呑んだ ピクリとも動かないお兄ちゃんの髪を撫で、キスする圭介 そうっと布団の裾をめくり、ベッドの下へと落とし 震える手をパジャマへと伸ばし、ひっそり眠る体を触って泣いている 「マコ・・・・・・、マコ、好きだ」 声をあげそうになるのを、必死に耐え夢中で部屋に戻った 初めから、そうだったんだ チコのことなんか、あの人は見てなかった お兄ちゃんのことだけしか 「知ってしまってからは、苦しかった。毎日考えて、やっと決心したの。お兄ちゃんに圭介を返さなきゃって」
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