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息を詰め、チコの告白を聞いていた恵理が、ふうっと大きく息を吐き出し
「辛い思いをしたのね。よく一人で考え、耐えたわ」
ギュッとチコを抱き締めた
「でも・・・・・・、でも、チコがすぐに決心しなかったから、お兄ちゃん」
「大丈夫。真琴ちゃんの彼氏も聞いてたもの。あなたは、抱えていた荷物を下ろしていいのよ」
キョトンとした顔で、ぼくと友樹を見比べ
金魚のように口をパクパク開け、動揺する姿も可愛い
こんな可愛い妹を、本気でぼくの身代わりしたのなら
ぼくは、圭介を許さない
だけどアイツは一本気で、曲がったことを許せない性質だ
恐らく、チコに本気で告白した
チコと圭介が付き合うと知り、初めて圭介を好きだと気付いたぼくのように
「マコ」
この呼び名を許された友樹の存在を知って・・・・・・圭介。圭介
半年前・・・・・・に、どんな思いで諦めたと思ってんの
バカ圭介
「一つだけ訂正させて。ぼくとチコの面影を重ねて抱くような真似、アイツには出来ない。チコも分かるよね?」
「・・・・・・・・・うん」
「じゃあ、もう一つお兄ちゃんからアドバイス。一人で決めずに、圭介とよく話し合ってごらん」
睨んでくる恵理を無視して、最善だと思う提案をした
チコはまだ、圭介に好意を持ってる
それに、圭介を返すと言われても「はい、どうも」なんて、受け取れない
ぼくは、初めてぼくに触れた響先生の吐息まで思い出せる
チコにとっても、圭介は特別な人
「圭介は、チコの初めての相手だろ?」
「ううん。違うよ」
「へ? 違うって、エエーーッ!?」
チコ、チコぉ
お兄ちゃん知らなかったぞ!
「どこの馬の骨相手に、大事なチコの初めてをあげてしまったの。白状なさい」
「あはは、お兄ちゃん変になってる」
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