第2章

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懐かしい光景を夢に見た 中学三年の秋、残暑に負けたぼくは水道の蛇口の下に頭を入れ、水を浴びていた 走ってきたのか、息を切らした圭介が 「シャツが透けるだろう!」 荒い息のままに、怒鳴った 脱いだ自分のシャツで、濡れたぼくの髪をゴシゴシ拭いてくるから ぼくの汗と圭介の汗が混ざって「頭、臭っ」言って、笑ったのは 失恋する、三日前のこと 「あっ、やだ・・・・・・っ、見られちゃう」 すやすやと寝息をたて、丸くなって眠る可愛い妹 「ああっ、待って」 チコを苦しめたのは、ぼくの未練 「ああ・・・・・・、琴音さ ん」 あー、もう 「うるさい! 客が来てる時くらい、別の場所でしてよ」 セミロングの髪を掻きあげ、床に膝をついた母の琴音が振り向いた 妖艶な微笑みに、ゾクリと奥のほうが甘く疼いてくる 「観客のいる方が萌えるのさ。でも、確かにあんあんうるさいかもね」 リビングの床に脱ぎ散らかした父、千都夫の服を丸め 母の下で喘ぐ口の中に、突っ込んだ 華奢な喉を仰け反らせ首を振り、涙を流す父の恥ずかしそうな表情から、顔を背ける 「べ つに、塞がなくても、静かにしてくれたら、いいだけだよ」 父を見ていると、羨ましいと思ってしまう 父の全身から、母に愛されてる喜びが溢れ出て、幸せそうにみえるから 「そっちのお姉さんは、初見だね。智恵子の友達?」 膝を使って腰を動かす母が、恵里を流し見た 「はい! お母様。私、蓮川恵里。全国模試三位の実力をかわれ、智恵子さんの家庭教師をさせて頂くことになりました」
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