第2章

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「今朝、夢を見たんだ。あの頃は、見るのが辛かった景色なのに」 響先生と友樹のことを思った ぼくのどこに好意を持ってくれたのか分からないけど 彼らは言ってくれた 「惚れた弱みだ。俺を利用して構わねぇよ」 「好きだよ。俺を見てくれなくても、愛してる」 二人に身を任せ、日常を共にしたからこそ 「懐かしいと思えるようになった。ぼくは、二人のことを大事にしたい」 恵里の問いへの返事にはなってない。けど 今のぼくにとって、精一杯の返事だ 頭のいい彼女は、肩を竦めただけで何も言わないでいてくれた 「あーっ、全然分かんない」 B評価を貰った化学のレポートを机になげ、風呂に入ることにした 週末はいつも響先生の家 金曜日から日曜日まで泊まって、余裕があれば勉強も教えて貰う でも、肝心の響先生は、まだ学校 顧問をしてるサッカー部の試合を間近に控え、指導にも熱が入るのか 10時を過ぎた頃帰宅する 鍵を持ってるのに玄関チャイムを鳴らし、出迎えたぼくを抱き締めキスをした後 「ただいま」 幸せそうに笑う あの瞬間、いつも胸がキュンとして、切なさを感じる ぼくが友樹を選んだら、あの笑顔を見れなくなるのだと思うと、胸が切なく痛むんだ 念入りに体を綺麗にして、壁にかかる鏡の前に立つのが習慣 風呂上がりの白い肌は、ピンク色に上気してる 平らな胸、まるいお尻、形のいいおへそ 薄い草原からぼくのコンプレックスが、ちょこんと顔を出す 「何でかなー。あの見た目でも、父さんのは大人の男なのに」 勿論、カリ太で立派とまで言わないけど、程々の大きさ それに比べてぼくのは
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