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“無性に会いたくなった”のわりに、熾烈な目で睨まれている気が・・・・・・
「開けすぎ」
「へ? 何が」
「カッターシャツ」
圭介の視線は、学校制服のボタン
パンの売り子を終えてすぐ、暑いし、二つ開けていた
「見えてんだよ。ピンクの色っぽいのと、赤い痕が」
スッと目を眇めた圭介に、ビクッと肩が震えてしまう
あ あ あ 赤い痕!?
色々とパニックだ
圭介に色っぽいと言われ、喜ぶぼくと
響先生の残した痕を見られたショックで、頭の中が真っ白
「ちょっ、ちょっ、ちょっ」
「ぶはっ、面白ぇ 三回同じ言葉言ったら、何かあんの」
笑いながらボタンをとめていく圭介の顔は
ぼくの目の前
彼の吐息が唇にかかって、めまいがする
「これでよし。なあ、マコ」
近い、この距離で話すな
思わず俯いたぼくの前髪を、勝手にかきあげ
顔を覗き込んできた
もう、無理!
ぼくの顔、絶対、爆発する
「ごめん。お前の大事な妹と、一昨日別れた」
「はあ!?」
「俺から告白したのに、最低だよな。チコにも怒られた。お兄ちゃんと間違えないでよって」
チコの名を聞いたぼくが、泣きそうな顔をしたからだと思う
困った顔で「ごめん」
二度目の謝罪をしてきた
「好きなんだ。マコのことが、二人の男と関係をもっていても、凄ェ好き」
あやうく絶叫しそうになった口を、両手で塞いだ
響先生と友樹の二人との関係を、圭介が知ってることに心臓が竦んで
それでも、ぼくを好きだと言ってくれたことで、ドクンと跳ね上がった
「卒業式の日。誰もいない教室で、俺の机に突っ伏して泣くマコを見た。
柔らかいマコの髪が日に当たって、涙と一緒にキラキラ光っててさ。綺麗だなって」
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