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圭介の手の温もりが、いつの間にか頬にあった
「マコのこと考えただけで、心臓がドキドキしてさ。なんて目で友達を見てんだと思ったけど、もう、無理」
魅力的な低い声を、はっきりと耳は拾うのに
視界が悪くて見えない
言葉を交わしただけで、苦しくて、幸せになる人の顔が
「諦められない。マコを泣かしても、好きなんだ」
ぼくの頬を撫でる圭介の手を意識して、やっと気付いた
自分が泣いてることに
「好きだよ」
「うん」
「一緒に空眺めよう」
「うん」
「ずっと隣にいて」
「うん」
「ちょうだい」
「ん?」
一瞬のキス
圭介の唇が柔らかく重なって、離れただけの
「あふぁ、あふぁ」
動揺して言葉を忘れたぼくを、じっと見つめてくる
夢にまで見た欲に濡れた圭介の瞳で、ぼくを・・・・・・《ボン》顔が爆発した
「凄ェ可愛い」
目を細め笑った圭介の、耳たぶを触る仕草にドキドキする
ふわぁ~っと、身体が宙に浮いてしまいそう
好き、好き、好き
圭介のことが、大好き
「圭介ー、時間」
「はい! ごめん、競技中だから休憩短くてさ」
離れていく温もりを、ガシッと両手で掴んで
「あわわわ、ごめっ、ん」
筋肉 圭介の腕の筋肉、半端ない
幻聴で《シューッ》脳の沸騰した音が聞こえた
頬が火照るなんてもんじゃない
絶対、燃えてる
「・・・・・・行かないと」
立ち上がった圭介が、切ない瞳でぼくを見てきた
圭介、どうしてそんな悲しい目をするの?
安心するまで、ギュッと抱き締めてあげたい
「マコ。他の男じゃなく、俺を選んでくれると嬉しい。じゃあな」
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