第2章

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今、何時? 18時30分。さっき確認したのは25分 圭介が来るのは、20時過ぎ   まだだと分かっていても、座っていられない 玄関の前に立ち、固定電話を眺め、鏡の前で笑顔の練習 「・・・・・・男で良かったかも、チコと比べられずにすむ」 膨らみのない胸を鏡で見て、ホッと息を吐きだす チコにあるものがなくて、無いものがある あんなに苦しんだ性別の違いに感謝する日がくるなんて 世の中、何が起こるか分からない は!  圭介って、男を抱いたことあるのか? 「うわぁ、何考えてんの?」 しゃがみ込んで、顔を両手で覆った 無理無理無理 圭介に見られると想像しただけで、恥ずかしい 「ま、待って、待って」 玄関で出迎えたぼくを抱きかかえ、ベッドにおろしたと思ったら 両腕をつき、逃げ場を塞ぐ姿勢をとった 「けい・・・・・・す、け」 ぎゅっと目を閉じても、伝わってくる圭介の体温 ふっと首筋に吐息がかかって ドドドドドドド しっ、心臓が、不整脈で失神してしまう 毛穴という毛穴から、ぶわっと汗がふきでた 「いい匂い。マコの香りだ」 くんくん鼻をならす圭介に、泣きたくなる 汗、止まって 押し返そうと手を伸ばして、圭介に触れてる自分に感動してしまった 凄い、バカ 「はな・・・・・・れて、臭い から」 「嬉しいくらいに、マコの匂い」 泣き笑いの顔をした圭介の目に、涙が滲んで 圭介? ポタッと頬に、雫が落ちてくる 「夜、部屋に忍び込むと「男」の匂いがして、殺そうかと思った。誰にも、マコを触らせないために」 チコに聞いた彼の姿が鮮明に、目の前に浮かんできた 響先生と友樹の残した痕に触れ、歯噛みし 涙を流す圭介を、抱き締めたい 「ごめん。俺のこと、怖い?」 ううん 首を振って、圭介に抱きついた 広いなぁ・・・・・・圭介の背 「怖くない。殺したいほど圭介に愛されて、嬉しい」 「見せて欲しい。マコの全てを」
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