第3章

3/20

434人が本棚に入れています
本棚に追加
/103ページ
膝を折り曲げられ、奥まった場所に圭介の熱棒が触れた瞬間 圭介の瞳を見つめたぼくは、心から笑った 喜びと幸せな気持ちが、溢れ出て止まらない 「ヤベェ、綺麗すぎだ。マコ」 どきりとするほど、低く色っぽい声に体が震える 強く押し当てられた熱棒に、期待で胸が高鳴るぼくの耳に 《ドンドンドン》 激しくドアを叩く音が聞こえた 「お兄ちゃん、お兄ちゃん」 チコ!? 中へ踏み込んできた妹の目が、大きく見開かれ圭介を見つめた ぼくではなく、真っ直ぐに圭介を 涙が一筋、陶磁器のような白い頬を伝い落ちていく 「チコ・・・・・・、チコ。圭介と別れて、4日しか経ってないよ?」 「ーーーッ、ごめん」 顔を歪めた圭介はチコに謝って、もう一度「ごめん」ぼくに謝罪した 離れていく圭介の体温 急に寒さを感じて布団を引き寄せ頭から被った 目を閉じていても、ぼくの耳は目で見る以上の働きをする 下着をはきおえた ああ、危ない 慌てて走るから、足がもつれてしまうでしょう 「圭介・・・・・・ッ」 泣きじゃくりながらも、嬉しそうに圭介の名を呼ぶチコ チコも圭介に駆け寄った 飛び付くように抱きついて、裸の胸に頬を当て泣く チコの背を撫でながら、繰り返し謝る圭介 何度も体を合わせたからだろうか。ピタリと重なる二人の呼吸 圭介の胸で泣くチコと、布団に潜り泣くぼく 流れる涙を拭きもせず、一人、泣き続けた 「おはようお兄ちゃん。昨日はごめんなさい。勉強で頭の中混乱して、色々考えてしまったの」 朝、階段を下りたぼくに駆け寄って、焦った口調で弁解する妹に微笑んだ 「いや? 受験勉強の邪魔したぼくの方が悪い。大丈夫、二度とチコを泣かしたりしないから安心して? ね、圭介」 昨夜、泊まった圭介に目を向ける ぼくの私立受験前だったかな? 買い物に行ったチコが「見て、お揃いのエプロンを買ったの」と嬉しそうに笑っていた 家庭科の授業で習った料理を、楽しそうに作ってたよね 駄目だなぁ、ぼくは 最愛の妹から、笑顔を奪おうとするなんて 「待って、ねえ。ご飯は? 作ったんだよ。お兄ちゃんの好きなオムレツ」 「ありがとう。でも、二人で食べて?」
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

434人が本棚に入れています
本棚に追加