185人が本棚に入れています
本棚に追加
/2408ページ
「お疲れ様です」
部屋を出るなり、藤堂が拍手をしながら出迎えてきた。
人の気配はしていた。
「藤堂だったか」
「僕に気付いていたんですか?」
「ん、まあ何となく気配は感じてた」
まさかこんなバトルマンガみたいな事を言う日が来るとは。
「っで? 何だってこんな所で待ってたんだ?」
「“皇先輩”がしていた事と同じ目的ですよ」
つまりは、光太郎が運営を質問攻めにしたのと同じ訳だ。
藤堂も『ゲーム』の事を知る為に運営に聞くつもりだった。
「聞きたい事は全て皇先輩が聞いてくれたので用は済んでしまいましたがね」
「だったら黙って行っちまえば良かったのに」
「そうはいきません。下手をすれば皇先輩と僕の立場が逆になっていましたから」
「ふ~ん。聞いてた事を教えてくれたのか、律儀な奴め」
光太郎としては藤堂が聞いていようが聞いていまいがどうでもいい。
だが、聞いていたのが彼で良かった。
彼ならば話を聞いても“理性的に動いてくれる。”
「ってか、待ってたのは良いけど……俺が襲うと思わなかったのか?」
「まだ戦闘禁止期間は続いていますから」
「しっかりしてる事」
溜め息を1つ吐くと、藤堂に向き直る。
「っで? 今の話を聞いてお前はどう思ったんだ?」
「恐らく『ゲーム』をクリアするしかないという事ですかね」
「やっぱそう思うよな~」
光太郎は頭を掻く。
「…………皇先輩は何か他の手段を思い付いているのですか?」
「う~ん、似たような……もんか」
歯切れの悪い返答に藤堂も首を傾げる。
最初のコメントを投稿しよう!