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「ミュウ!? いつの間に!?」
光太郎は驚きの声を上げる。
「あんたの帰りが遅いから何かあると思ったのよ」
案の定、光太郎は藤堂と話し込んでいた。
「いえ、皇先輩に少し聞きたい事があったもので」
「まっ、そういう事だ。もう終わったよ」
「誤魔化さなくて良いわよ。手を組むとか組まないとかの話でしょ?」
ストレートに「聞いてた」と言ってくる。
「案外ジュリース“先輩”も肝が据わってますね」
「こんなのは初めてだけど、似たような事には何度も巻き込まれてきたから慣れっこよ」
違いない――心の中で光太郎は同意した。
「まっ、悪いが俺の方は今も言った通りだ」
「いえ、謝らないで下さい。僕は“余計に”皇先輩は油断ならない人だと再認識できましたから」
では――と言って、光太郎達に背を向けて歩き出す。
「ねえ、今の後半の意味はどういう事なの?」
協力体制の話だった筈だが、いきなり「油断ならない」と言い出した。
そこにどんな真意がある?
「俺達は互いのクリア条件が競合して、最悪のケースになっていた可能性も十二分にあった。
藤堂ならそれくらいは考えに至るだろうに言わなかった――って、事はだ。“クリア条件を満たす為に利用してくるつもりだったんだ”」
その満たし方が皇光太郎に害成すか否かまでは不明だが。
この『ゲーム』の各キャラのクリア条件は把握している。
それでもイレギュラーな事態は起こり得る。
例えば人数が原作よりも2人増えていたように、クリア条件の変更も有り得た。
だからこそ、迂闊な発言は命取りになると考えたのだ。
「とりあえず行こうぜ。皆待ってるだろ?」
「うん」
いくつも考えを巡らせながら、光太郎とミュウは病棟を出るのだった。
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