鬼沼村

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「入るってここにか? 不気味すぎるだろ。入るならお前から入っていけよ」 「いいわよ。あんたが一番のびびりね。射水さん、私の次に入りなさい。びびりのヒサシ君は零二君の次の最後でもいいわよ」 二宮零二とはまだ何も発言していない内気な青年である。目の下にある隈は彼の顔全体を黒く塗りつぶす印象的な印に見え、そして彼はクラスの全員から下の名前で呼ばれていた。 西園寺は先頭を歩き、その後ろに射水が、零二は一番後ろを歩くのが嫌なのか足早に射水の後ろについて行った。そして俺が背後に神経を尖らせながら廃屋の廊下を歩いた。ぎしぎしと床が軋む音が聞こえた。
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