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低い男の声が微かに聞こえてきて、俺は咄嗟に零二の学生服の背中のところを握り締めた。
零二はびくりと体を震わせて俺のほうを振り向いた。
「すまん」
零二は体を震わせていたが、それは廃屋に足を踏み入れてからであり、さっきの声に怖がっているようには見えなかった。床が軋む音が変化して男の声になったのだろうと言い聞かせた。他の三人もその音に反応した様子はない。しかしおどおどしている零二に比べて前の二人は堂々としすぎていた。普通こんなリアルお化け屋敷なんかにきたら物応じて歩くのすらままならない。
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