鬼沼村

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西園寺はリビングのタンスの抽斗を漁り始め、射水はテレビの横に置いてある本棚に目を付け、老舗古本屋の目利きのように眺め始めた。薄暗い部屋の中、零二は射水の横にぴったりと張り付いて手持ち無沙汰にしていた。俺もただ二人の様子を後ろから眺めているしか出来なかった。 「ちょっとあんたも何かやれることがあるでしょ。そのテレビが付くかどうか調べなさい」 西園寺は動きを止め辺りを見回して、俺と視線が合うと話しかけてきた。 「付くわけないだろ。やっても無駄だ」
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