第1章

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それからしばらく経ったある日。 勇者くんと昼飯なう。 うーん落ち着かぬ。 周りからの視線が痛い、痛すぎる.... 「あ、ユミコ、こっちこっち!」 「あ、お二人とも早いですね。授業終わって直ぐに来たのにもう居るなんて...」 「まぁね、ほらお腹も減ったし早く食べて特訓しよう」 「はい!」 そう、なんとこのあと三人で特訓しようということになっている。 しかも裏山の森に行って魔物と戦うのだ。 魔物といってもここの生徒でも倒せる弱い奴である。 三人での連携をどうするか、とのことで色々打ち合わせを兼ねて実践形式で訓練をするのだ。 今日の授業は午前で終わりなので日が登ってるうちに訓練ができて幸せだ。 なんか、友達?仲間?ができて幸せだぁー。 あれから貴族の方々に何かをされるわけでもないし、良いことずくめだ。 勇者くんのおかげだよ! ん? 「あっ!いや、すいません、何でもないです!!」 なんだろう、ユミコちゃんが見ていた気がするけど...まぁ、本人が何でもないと言うならなんでもないのだろう。 ___________________ 裏山なう 「ふぅー、お疲れ様」 「あ、はい!お疲れ様です!」 うぃ、お疲れ。 僕は持参してきたスポーツドリンクを二人に渡す。 「ええ!?あの、えと、私なんかが貰っちゃっていいんですか?」 いや、逆に貰っちゃいけない理由が有るのか?と首をかしげてしまう。 いや、無いだろ。 なんかユミコちゃんペットボトル片手に涙目だし.... あれ、もしかして僕のあげた奴なんて汚くて飲めねぇーよとかそういうパターン? うわ、ショック..... 「ちょっ、何二人して落ち込んでるんだよ....。え、何これどういう状況?」 はぁーー、と僕は溜息を吐いて現状確認をしていると異変に気づく。 なんか、勇者くんの足元が光ってる。 え、嘘ん、なにその魔法陣、見たことない... 考えてなかった。 ただ、僕はこの二人には幸せになって欲しいって思ってた。 ただそれだけ。 気づいた時には周りは光で包まれて、咄嗟のことに二人とも反応出来ていなかった。 僕は俯いていたせいで勇者くんの足元に広がっていた魔法陣にいち早く気づけただけ、ただそれだけ。 僕は勇者くんを思いっきり突き飛ばし、一人で魔法陣に飲み込まれた。
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