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寒くない? と
お前は俺を気にする。
湯に当たっていても未だに震えているクセに。
ああ、と短く答える。
お前は、と聞き返す。
「まだ」
まだ、寒いのか。
「下も」
――それ、は。
「それは――、『そういう』意味か?」
何故お前はあの時
傘を棄ててしまったんだろう。
何故お前は、
頷いてしまったんだ。
ベルトに手をかけただけで
お前は「あ」と小さく鳴いた。
もう遅い。
お前は傘を
棄てたんだ。
俺と一緒に濡れると
あの時、お前が決めたんだ。
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