side ユウ

5/6
前へ
/13ページ
次へ
寒くない? と お前は俺を気にする。 湯に当たっていても未だに震えているクセに。 ああ、と短く答える。 お前は、と聞き返す。 「まだ」 まだ、寒いのか。 「下も」 ――それ、は。 「それは――、『そういう』意味か?」 何故お前はあの時 傘を棄ててしまったんだろう。 何故お前は、 頷いてしまったんだ。 ベルトに手をかけただけで お前は「あ」と小さく鳴いた。 もう遅い。 お前は傘を 棄てたんだ。 俺と一緒に濡れると あの時、お前が決めたんだ。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加