side ユウ

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濡れることを望んだ俺を 傘に入れた女がいた。 鼻につく。 その女は何も分かっていない。 俺は濡れていたいんだ。 濡れてなくてはいけないんだ。 元々あの女が嫌いだった。 理由は明らかで お前がやたらとあの女に構うからだ。 『濡れるよ』とお前が初めて言った時 もしもあの女と同じことをしたなら俺はすぐにでも立ち去っただろう。 お前は傘を差す人種なのだと 濡れてはいけない人間なのだと 濡らしてはいけない相手なのだと 理解しただろう。 傘を手離したお前は なあ 【こっち側】の人種なんだろう?
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