おやぢ的 短編『 組長と コオロギ 』

組長とコオロギ

　
　小春日和の秋の日も

　日に日に 少し少しずつ
　すずしい風が吹いてきて

　毎日 まいにち 少しずつ

　冬のけはいがやってきて

　ベンチに座るデコボコトリオ

　枯れ葉が舞いちる 足元で

　あれほど元気なコオロギたちの

　声も少し 少しずつ

　弱々しくて さびしくて

　やがて聞こえる 声ひとつ。