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ある日の放課後、僕は校舎裏に呼び出された。方法は古典的で、いつの間にか机の中に手紙が入っていた。筆跡を見る限り、僕の知らない相手だろう。
無視してもよかったのだが、一生懸命書いたのは伝わってきたのでせめて面と向かって断ろう、と思い呼び出しに応じた。何が起こるのかは予測が出来るので。
僕はいい意味でも悪い意味でも浮いている。いい意味は成績、及び個人的にやっている剣舞で有名なこと。悪い意味は、仲の良い友達が幼馴染の女の子しかいないこと、融通がきかないこと。双子の弟もいるが、それは別カウント。兄弟だから友達じゃないし。
呼び出しのあった校舎裏にたどりつく。そこにはすでに見知らぬ女の子がいた。制服の名札の色からして同学年。クラスは違うので、知らない顔に知らない名前。先程からそわそわしているので、彼女が呼び出した張本人だろう。
近くに行こうとする。すると、ちょうど秋が深まってきた頃だったので、踏みつぶした落ち葉が乾いた音を立てる。その音に女の子がハッとしたようにこちらを向く。
「き、急に呼びだひてすいません!」
女の子が噛みながら言ってくる。落ち着いて言おうよ………。
「気にしないで。こっちこそごめん。待たせた?」
いつから待っていたかはわからないけど、あまり長く待たせていたら申し訳ないので僕は謝った。
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