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「い、いえ!私も今来たとこです!」
この手のセリフって本当はいつから待っていたのかわからないから困るんだよね………。こちらの答えはもう決まっているから余計に困るし。
「あ、あの!」
女の子が勇気を振り絞るように声を荒らげる。
「ひ、一目惚れしました!付き合ってください!」
「………ごめん」
一言で済ます。あまり長く説明してもしょうがないし。
それに、希望も与えない。まだお互いを知らないから………、お友達からなら………、ならまだ希望がある。繋がりが出来るから。けど、僕はそれすら作らない。もう、一緒に歳を重ねていきたい相手がいるから。
女の子が固まる。ここまであっさりと断られるとは思ってもみなかったのだろう。僅かにでも関係が出来れば、と考えていたはずだ。
目に涙が浮かぶ。それでも、僕は何も言わなかった。断るなら徹底的に。嫌われても構わない。
唇を噛んだ。その肩が震えている。もういいだろう、と思い、僕は踵を返す。ーー返そうとした。
「っ!?それなら!」
と、予想外にも女の子が突進してきた。あまりの展開に思わず固まるが、体は勝手に動いた。
抱きつく、もしくは押し倒そうとした女の子を横に逸れることで躱し、その腕を掴んで後ろに回す。そのまま地面に押し倒して捻り上げた。
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