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「はい、敬介君。」
「え?」
クロが立ち上がって、さっきの暗号の紙を俺に渡してきた。
「あ、そういや浮羽はわかったとか言っといて答え言ってないじゃん。」
「いや、彼はちゃんとわかってたよ。もしかしたら逸材かもしれないね。」
子供のように嬉しそうな顔で話す。
なんでクロはわかってたって言い切れるんだよ…。
「それじゃあ私も帰るね。もう遅いし。」
外を見るともう暗くなっていた。
「あ、俺も一緒に行くよ。」
「大丈夫だよ、近いし。それに、優柔不断な人がいても意味ないしね。」
うわ…。めちゃくちゃ突き刺さるんですけど…。
「じゃあね、クロ。」
「はいはい。」
クロを見ると、肩をすぼめて俺に返してくる。
なんだこの孤立無援な状態は…。
あ、だから俺も同じところから出るんだって。
舞の後を追うようにして、俺はクロの家を出た。
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