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「はい、時間になりました。後ろの人は答案用紙を集めて来て。」
チャイムと同時に、先生が残酷な現実を言葉にした。
「ダメだ…。いろんな意味で終わった…。」
「あらら。この様子じゃあ敬介君は今回も撃沈らしいですね。」
クラスメートの大知が、まるで可哀相な子猫を見るような目で話しかけてきた。
今日は学校のテスト最終日。
そしてこの俺、森崎 敬介は最後の数学のテストに打ち負かされたところだった。
前日に猛勉強、と言っても、いつも通りヤマを張ってテストに望んだわけだけど、出たのが見事に長い解答になるものだけ。
もちろん、記憶力の悪い俺が張ったヤマにそんな物は入っていない。
数少ない授業の記憶と、これまた数少ない脳細胞をフルに回転させて作り出した解答を、またまた見事に違う解答欄に書き間違えた訳で…。
受験生がこんなんでいいのかな…。
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