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そんな時、俺達を呼ぶ声がした。
「おーい、二人とも帰らないの?」
利奈と舞だった。周りを見渡すと、ほとんどの生徒は教室からいなくなっていた。
テスト後のストレス発散をしにいったってとこかな。
「そういえば唯知らない?なんか用事あるって言って帰ってったけど。」
「デートだってさ。」
「え~、せっかく皆で遊びに行こうかと思ったのに。仕方ないから4人でどっか行こうか。」
4人で…。それを聞いた大知がいきなり立ち上がる。
「よし、利奈。今日は二人だけで面白い場所に連れてってやるよ。」
「え?何?どこ行くの?」
そう言いながら、大知は利奈の手を掴んでさっさと教室から出て行ってしまった。
俺に向けて軽く親指を突き出したのは気のせいだろうか。
残された俺と舞の目が合う。
「お、俺達も帰ろうか。」
「あ、うん。」
二人だけの帰り道。
いつもなら平気なのに、変に意識しちゃうのは大知のせいだよな…。
「ねえ敬介?ちゃんと話聞いてる?」
「え?あ、ごめん。何だっけ?」
「だから久しぶりにクロの家行こうよって。」
「だな、行こっか。」
そう言った俺の足は、無意識に少し速くなっていたのかもしれない。
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