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それは本当に突然だった。 「俺達、結婚するか」 一緒に暮らしだして1年経った頃だった。 この1年かけて、やっとコロッケを爆発させないで上手に揚げられるようになり、自信満々にキッチンに立って夕食の支度をしてる時、つまみ食いをしながら恋人の結城がそう言ってきた。 菜箸を持ちながら呆然と結城を見上げる。 結城はいたって普通だった。 「今日の献立、何?」 みたいな感じで隣に立っている。 「美味いな、これ」 「ありがとう……じゃなくて! いきなり、な、何言ってんの?!あんた……」 「焦げてるぞ、それ」 「うわぁっ!!」 慌てて掬ったけれど、時すでに遅し。 残念な事に爆発寸前だ。
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