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結城の事だから、私がサプライズや王道なベタなシチュエーションは苦手だとわかっていたんだろう。 ドラマや映画のような展開や話は大好きだ。 でも、それは妄想の中や話の中だから感動する出来事であって、実際に自分の身に起こればただ恥ずかしいだけだった。 それが、結城との付き合いの中でわかった事だった。 相手が”こいつ”だからつい憎まれ口を叩いてしまって素直に喜べないという、面倒な私。 もっとストレートに感情を表現出来たら…と思うけれど、昔からの慣れた関係というのを崩すのはなかなか難しいんだ、これが。 現に今だってせっかくプロポーズをしてもらったというのに 「ば、馬鹿じゃないの?!ご飯作ってる時に言うこと?信じられない!」 なんて、思っている事と反対の事を言ってしまう。
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