第1章

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今日の昼休み、 「楓ちゃんから合コンのお誘いがあってさ♪」 「やったじゃない。 行っておいでよ♪」 吉永翔子は、同性から見ても、なんで秘書課に行かなかったのかと思う位容姿端麗な、クールビューティーなのよね。性格は可愛いし、ちょっと口から毒を吐くけど、回りの空気を良く読めるし、不器用な私をいち早く救ってくれたのも翔子だった。 「北原さん、仕事頼んでよい?」 新人研修が終わって事務センターに配属になり一ヶ月たった頃、私は回りの面々とは馴染もうともせず、ただひたすらパソコンをカタカタ鳴らし、定時で帰れるように 頑張ってた、その理由は、 初めての1人暮らしでお一人様を満喫してたから! 大好きな本と大好きな料理、 無理して玄関の横に出窓のついたアパートを見つけて、兄さんの頑固な反対を押しきり、22才の私は決断したのだった。 別に実家が嫌いな訳ではない… 母さん、父さん、弟も大好きだし、兄貴も割とイケメンで自慢の家族… 一年前、兄貴が結婚するまでは… 弥生さん、良いとこのお嬢様で兄貴に一目惚れ、一緒には住まないけど裏に一軒家を買って(弥生さんの実家が購入した)兄貴は断ったみたいだけど、弥生さんに生前分与らしい…羨ましい限りだ。 『千琴さんはまだお嫁入りされませんの?』 が前田家…弥生さんママのくちぐせらしい。 それも兄貴が居ない時間を見計らって来る?らしい。 母さんは「まだまだ子供でこまっちゃいますわ~♪」なんて庇ってくれてはいたが余りにもしつこくて、弥生さんとギクシャクしてきた。 (それだけじゃないらしいが…) 弥生さんは、25まで箱入りでお茶、華道、料理、エトセトラ… なんでも出来るスーパー花嫁さんだから、30才まで仕事一途な兄貴もコロンといかさしたみたいで、 わが北原家…メンドクサイのが嫌いな家系らしく 「わたし、独り立ちしよう『『さんせい!』』…」 まだ全部言ってないけど 入社式にはこのアパートを見つけ、今に至るわけです。 さすがに私も最初はホームシックにかかり、睡眠不足でふらふらな所に、吉永翔子が声を掛けてくれたのよね。 うれしかったな。 「……きたはらさん? 仕事頼んでるんだけど…」 「は、はい!だいじ『大丈夫じゃないです!』」 へっ? 腰に片手をニヒルに添えた翔子さんが、依頼人の2年先輩男性社員の溝口さんの前に立ちはだかった!
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