第2話 現実は非情である

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 ……まあいい。今は相手の非をあげつらう場合ではない。可能な限り、この世界の情報を火急的速やかに聞き出す。その一点にのみ集中しろ。 「で、この世界は具体的にどんな場所なんだ?言葉とか通じるのか?」 『え?……いや、知らねぇけど?』 「おい管理者貴様ァ!?」 『怒鳴るなよ、耳がキーンってなんだろうが』  いや、姿を隠しているのに怒鳴るのは不味い。 『あ、それは大丈夫だ。時間は止めてあっから。よくあるチュートリアルってヤツだな』 「……器用だなオッサン」 『おう任しとけ』  全然任せられないけどファインプレーには変わりない。その点にだけ感謝しよう。 「で、時間止められるのに世界の情報持ってないってのはどういう了見だ?」 『だって、興味ねぇしさー』  この放任主義の所為で世界が崩壊するとか、そういう話だったらマジで許さん。  まるで体の良い尻拭いじゃねえか。 『だから、そんなんで世界はどうこうなんねぇよ。ってか、そろそろ借りてるDVD返す時間だから本題入るぞ、良いな?』  人が不安で押し潰されそうだってのに、好き勝手するじゃねぇか……
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