第1章 一つの終焉

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 朝起きて、  学校に行って、  嘲いに晒されて、  いたぶられて、  くたびれて、荒んで、  一日を終えて、また繰り返す。  不毛で、自虐的で、虚しい自傷行為。  それでも、生存と生活は俺の義務だった。  ただ一人の友人が、生きるための指標になるために。  俺の使い道は、それだけにのみ向け続けた。  ……でも、俺も流石に一般的な高校生だったらしい。  決して揺るがない強固な精神力を持つわけでもなく、周囲の罵詈雑言を退ける確固たる意思力を持つ訳でもなく、ただ心を磨り減らし続けて、なすがままに日々を過ごす。  盲目的というか、脅迫的というか、それだけにのみ専心する自分には驚かされる。  しかし、同時に呆れさせられる。  自壊する精神が、何処かで終わりを求めて叫んでいるという事実に。  その叫びを無視して、今もなお日々のサイクルを回転させようという惰性に。  なんとも、孕んだ矛盾が滑稽で情けない。結局、どっちに対しても及び腰で原状維持しか能がないのだから。  ――――だからこそ、こんな偶然に満ちた終焉は願ってもない不運だった。  ――――作りかけのビルの屋上、クレーンから降り頻る鉄骨。  ――――ぶつかり合いながら、人を潰すには十二分な重量と速度を以て迫り来るその暴力に、 ――――俺は思わず、涙で視界を滲ませながら笑みを溢した。  ……まあ、あとはうまく回るだろう。世界なんて、社会なんて、替えの効く歯車を膨大に抱えた機械なんだから。 ―――――――――――――
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