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「なんだ、予想してたよか随分とケロッとしてんじゃねーか。もうちょい悲観的だと思ったけどよ?」
ふと気がつくと、煙草から煙を燻らせ、隣に座るオッサンが声を掛けてくる。
第一印象として、馴れ馴れしいことこの上ない。おまけにヤニ臭い。かなりの悪印象だ。なかなか狙えるものじゃない。
「煙草を吸えば誰だってこうなんだよ。臭いの事は慣れろ。ついでに俺の人柄も慣れとけ。直ぐに別れちまう、呆気ねぇ縁だとしてもな?」
「そんな都合良く……、……え?」
「え?」
都合良く悪印象を受け入れられるか。
そう述べる前に、言い知れない疑問が立ち塞がった。
「オッサン、俺はまだ何も言ってなかったよな?」
「でも、思ったろ?それだけで俺は十分なの。人間の霊魂風情、考えなんぞ手にとるようなもんよ」
掠れるようなせせら笑いを溢しつつ、オッサンはグラスに注がれた琥珀色の液体を喉に流し込む。
「……つまり、オッサンは死後の世界の神様とか、そういうのか?」
「いんや、そいつぁちっとばかしファンタジーが混ざってんな。お前も結構メルヘン脳なのな」
うるせえ黙れ。
「そうキレんなよ。現代っ子かっての」
俺自身はバリバリの現代っ子だし、何より態度と臭いが気に入らない。
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