第1章 一つの終焉

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「ったく、手厳しいガキだねぇ。……ま、知りたいとあっちゃあ、聞かせてやるのが優しさかね」  意味もなくグラスを回して氷をカラカラ言わせつつ、一秒だけ間を設けてオッサンは語りだす。 「俺は幾つかの世界を管理する形而上の存在。お前等は勝手に神だの何だのと呼んでる存在だ」 「神じゃねえか」 「それはそれで面白い切り返しじゃねえか……。ま、厳密な意味合いが違うってだけで、関係はねぇわな」  ハッハッハと笑いつつ、ついにオッサンはグラスの中身を飲み干す。  俺には何処に笑いどころがあったのか甚だ疑問ではあったが。 「で、世界を管理するようなオッサンが俺に何の用だ?死んだんだから、地獄なり何処なりブチ込めば良いだろうが」 「いやいや、それじゃあお前を殺した意味がねぇんだわ」 「随分と臆面もなく自首するんだな」 「その点についちゃ腹立ててないんだろ?」  感情や思考については完全に把握されてるな。  自分で喚くよりずっと楽で済むから良いが。 「殺された事について、なんとも思ってねぇか。図太いのか、不感症なのか、どっちかね?」 「知らねえよ、そんな話より本題に移れ」
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