第1章 一つの終焉

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「……あぁ、そうだ。一応言っとくけど、お前には選択肢なんかねぇからな。俺に殺された以上、お前は輪廻から零れた【はぐれ】だ。元の世界に生まれ変わるなんざ出来やしねぇ。目的地に出向いて貰う他に道はねぇんだよ」 「それでも嫌だって言ったら?」 「そのうち、この【神域】に存在を削られて、跡形もなく消えるな」 「消える、か」  だったら、考えるまでもない。  このまま此処で完全に留まって消えた方が楽でいい。誰が好き好んで異世界なんざ救ってやるか。 「……まあ、生前のお前について何も知らねぇ訳じゃねえけどよ。一回死んだんだぜ?スッパリ割り切って向こうで第二の人生に洒落込んでもバチは当たらねぇだろ?」 「……俺の事を知ってるなら、そろそろ諦めた方が賢いんじゃないか?」  平行線。  死を恐れずに異世界で戦えるような人材を求めたオッサンと、生に希望を見出だせずにこの場所で労せず消滅したいと願う俺とでは話し合いなど望むべくもないだろう。当然の帰結だ。 「……まぁ、そうなるだろうとは思ってたけどな。だったら俺も止めやしねぇ。好きにしな」  オッサンはやれやれと頭を振り、溜め息をつく。
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