私の存在証明

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純白な白衣を身に纏う小柄な女性。 一目見て看護師だと理解し、ここが病院だということが結論付けられた。 体を起き上がらせる事も出来ずに居る私に、その人は神妙な面持ちで近付いて来る。 「…容態がもう少し安定したら、先生とお話しましょうね」 「……」 「それと、親御さんと連絡を取りたいんだけど番号が繋がらないの 他に連絡手段があったら教えてほしんだけど」 「……」 「…ごめんね 今は取り敢えず、休みましょうか」 その日から約一ヶ月。 私は白い空間に囚われ続け。 誰も見舞いに来ない日々を送った。 そして退院する日。 「何をバカな事をやっているんだ」 初めて顔を見せた父親に、そう言われた。 面倒を掛けさせて、と呆れた顔で松葉杖を突く私を見下ろしている。 …だから、この人が嫌いなんだ。 「久しぶりに会ったと思ったらこのザマか 家出なんかして不良の真似事でもしているつもりか? 心底お前には愛想が尽きた」 「…愛想が尽きた? 初めから何もねえだろうが 来たくなきゃ来なきゃ良いんだよ、クソジジイ」
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