私の存在証明

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頬に痛みが走る。 殴られた衝撃で長い髪が顔を隠し、歯を噛み締めた私の体を看護師が支えた。 「く、栗原さん! 娘さんはまだ病み上がりなんですよ!?」 「金だけ掛けさせて何の利益もないコイツが娘なわけがない 母親似のくだらん女だ 一層施設に送ってやろうか? お前と同じゴミクズが集まって、さぞかし居心地が良いだろう」 父親なんて名前だけ。 この人は自分の理想だけを押し付け、それを抗う者を簡単に捨て去る。 お母さんがそのいい例だ。 結局、退院した私は家に帰る気も起こらず。 中学時代の知り合いの元へ向かった。 「え、どうした!?」 第一声はこの有り様に驚愕し、泊めてと言えば首を横に振る。 どこへ行っても皆そうだった。 あの男が言った通り、私なんかを傍に置いても何の利益もないから。 分かってる。 私は必要とされていない。 唯一の理解者だった歩羽も、私を捨てた。 私はもう。 生きている実感も沸かない。
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