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今日は綺麗な青空が広がっている。
羽ばたく鳥も気持ちが良さそう。
このままこの青を見ていられたら。
私の荒んだ心も塗り替えられるだろうか。
公園のベンチで空を見上げる私は、うっすら口を開いたまま。
凡庸と景色を鑑賞していた。
この瞬間だけ、何も考えなくて済むから。
落ち着いていられるんだ。
「…栗原…さん?」
そんな時、掛かった声は聞き覚えがあって。
ゆっくり視線を移した先には、気弱な顔をする女の子が立っていた。
…田中…?
今日は休日だし、学校がないのは分かっている。
周辺が学校に近いということも知ってる。
でも、よりによって何でコイツに出会すんだろう。
怯えながら歩み寄って来るその姿に、顔を歪めた。
「…だ、大丈夫…?
ニュースにも取り上げられて…」
「ああ、女性高性がレイプでされて子宮破裂って?
…はっ
別に将来ガキなんで作る予定もないし
おかげで無駄な機能が無くなったから清々してるっつーの」
髪を掻き上げ、田中の顔をマジマジと見つめてから、私は笑い声を上げた。
「嬉しいっしょ!
イジメてた相手がこんなんなってさあ!
ザマアって感じ?」
「そ、そんなことない…!
私は本当に心配して…!」
「はいはい、それ嘘な
散々酷いこと言われてきた奴相手に、心配する人間なんてどこにもいないから
いい加減さ、いい子ちゃんぶるのやめない?
うっぜぇから、マジ」
「……私は、栗原さんのこと怖いって思ってたけど
でも多分…優しい所だってあるって思ってる…
だって!
佐伯さんが困ってる時にはいつも助けてたでしょ!?
私それ見て凄いって思ってたんだよ!」
珍しく声を張り上げてそう言った田中に、私はベンチに立てかけていた松葉杖を投げ付けた。
身を窄めて怯える仕草。
涙目で私を見るその顔。
全部、全部が鬱陶しい。
「死ねよ、田中
お前見てるとイライラしてしょうがねえんだよ
何も出来ないくせに、何も知らねえ癖に
綺麗事ばっか並べてんじゃねえよ」
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