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歩羽の家にお邪魔した私は、人の家でありながら豪快に寛いでベットに寝そべっていた。
床に落ちていた雑誌を適当に拾って、煙草を咥えながらページを眺める。
ベットの下でネイルを始めた歩羽は、妙に静かだった。
「あゆー?
なんか静かだね」
「…ん?
あ、いや…ちょっとね」
背を向けているから表情は分からない。
だけどその声にはいつもの元気がなく、体を起き上がらせた私は煙草を灰皿に捨てて、歩羽の背中に抱き付いた。
「おりゃ!!」
「ちょっ!!バッカじゃねえの!?
マニキュア手に付いたじゃん!!」
「あゆが大人しいからでしょー?
心配してんの」
「…あのさ」
「ん?」
密着していた体を離し、歩羽の顔を覗きこむ。
だけど、影を纏った表情に言葉を失った。
…マジ、なんかあったの?
静寂に包まれた部屋で、歩羽は私と向き合った。
その瞳には涙が滲んでいた。
「子供、出来た」
「……は?」
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