そして歯車は廻り始める

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と、思ったか!馬鹿め! 僕の過去に語る価値などない なんてことのない普通の話 ただ魔物に襲われているところを助けられただけ、よくある話だろ? その後、牡丹に気に入られ今に至る その途中でライさんに戦い方を叩き込まれたり、桜さんに魔法について教えこまれたり、椛さんに城の構造についてレクチャーされたり、椿さんに武器の使い方を教育されたり、いろいろあったが… あれ?教えてもらってばかりじゃね? まあいい、今はそんなことどうでもいい、重要な事じゃない 「もしかしては先程戦争が始まると言ったのは」 「察しがいいな、そこで頼み事がある」 「!?危険です!」 珍しく桜さんが慌てている 「頼み事?」 「そう、交渉に向かってほしいのだ、戦争を回避する為に、その贋作の刀を持ってな」 「なぜ僕が?」 「諦めてほしいのだ、我が娘には婚約者がいるといってな、おそらく諦めてくれるだろう」 そんなことは絶対にない このまま交渉に向かえば十中八九僕は死ぬだろう、この王は戦争を阻止する為に死ねと言っている これは絶対にNOとは言えない命令、もしNOと言えばこの王は娘すらも人質にするだろう 「…いつ出発ですか?」 「おお、やってくれるか!」 あの人が良さそうな顔には何枚の面の皮が覆っているのだろうか 非力だ…あまりにも非力、誰かの掌の上で踊るしかできない弱い僕 しかし、まだ足掻ける、踊ってやるさ、だが踊り方は僕が決める
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