そして歯車は廻り始める

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華の姫(ぼたん) とある国のとある姫、その美しさを例えるならば、あらゆる言葉を使うという 人々はその姫をこう呼んだ 『牡丹姫』 人知れず、その姫に付き従う従者がいた、どこにいても姫を思い続けた彼は 『紫苑の勇』 と呼ばれていたのだそうだ 「なにそれ?」 「暇だから考えたのです!」 執事服の男性が眉間に皺を寄せていた どうやらいつもどおりの光景のようだ 「牡丹…貴女、自分をそんなキャラだと思っていたのですか…」 呆れているようだ 「え?違うの?」 「違う」 「え!これでも姫だよ!?」 「そうだけど、さっきのはない」 「そんな馬鹿な!」 バァンと机を叩いた 「はいはい、それよりお時間ですよ」 「露骨に話をそらされた!」 慣れた対応で話を切った 「今日ってなにがあったっけ?」 「自分の誕生日くらい覚えておいてくださいよ…」 「あれ?これ怒られてるの?」 「怒ってないよ…だからはやく用意してこい」 「はーい」 大きな返事をして走っていった 「転ぶなよ~はぁ…」 思わずため息、すると 「相変わらず大変そうだな~」 「あぁ…ライさん」 疲れた…だから煙管を吹かせながらダルそうにしている男性にとりあえず皮肉を言っておこう 「こんなところにいていいんですか?」 「俺にもサボりたい時くらいある」 「いつもでしょ…」 「そういうな」 「内緒にしておきますから、早く行ってください」 「ほーい」 こんな奴らばかりか…この国は…
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