そして歯車は廻り始める

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「なにしてるんですか…」 扉の前でげっそりとした表情のライさんに話しかける 「椛に追われているんだ…助けてくれ」 「自業自得です、甘んじて受けてください」 「椿は捕まった…次は俺だ…」 「あなたそれでも将軍ですか…」 「そんなもん関係ねーよ…このままだと地獄に案内されちまうよ…」 「大丈夫ですって、地獄の案内人はサボりがちだって噂で聞きましたよ?よかったじゃないですか、話が合うんじゃないですか?」 「で、また帰ってきて説教続行ですね、わかります」 「一度で二度美味しい」 「(精神的に)まずいです」 「ところで、こんなところいて大丈夫なんですか?」 「なんでだ?」 「椛さん、後ろに立ってますよ?」 「そんな馬鹿な…」 ゆっくりと後ろを振り向く、と 「馬鹿は誰ですか?」 鬼の形相の椛が立っていた 「うそん」 「サボりはいけませんよ?」 そう言った椛の表情は心無しか輝いて見えた 「許してください」 「許しません」 即答である 「南無」 とりあえず両手を合わしておこう 雷來、僕がライさんと呼ぶ男性、この国の唯一の将軍であり、謎が多い男性 雷來というのは称号であり、誰も本名を知らないらしい (雷來って何の称号だっただろうか?) どんなものだろうとあまり凄そうじゃないよな 「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」 ライさんの悲鳴が聞こえた、あれは駄目だな、もう助からん (さて、お仕事に戻ろうかな) 牡丹の居る部屋の扉に手をかけた
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